|
|||||||
Eternal Curse |
Prologue | |||||||
瞳を閉じると思い出す。 鮮明なまでに赤と黒の二色で彩られたあの光景を。 見上げれば、天は地表を覆った紅蓮の炎をそのまま映し出し、辺り一帯を朱に染める。 焼け爛れた肉、そして炭と化しつつある死体が放つ異臭が鼻をつき、 瓦礫からは飽きることなく煙が燻り、足下には止まることなき血の川が流れている。 血と埃にまみれた衣服を纏い、『彼女自身』は呆然とその場に立ち尽くしていた。 突如としてその心に湧き上がったのは、絶望と空虚、そして……悲憤。 この光景を目に焼き付けながら、彼女は一歩、また一歩と引き下がり、力を無くして膝をついた。 気がつけば、いずこともなく流れ出でた雨雲が、ポツリ、ポツリとその涙の粒を落としていく。 まるでこの惨劇を悼むように……。 * 少女は閉じた瞼をゆっくりと開ける。 そこにはもはや凄惨な景色はなく、代わりに目にしたのは……鏡に映った自分の姿だった。 少女の心に不安がよぎる。 望まずとも心の内に流れ込むあの光景は、ただの白昼夢なのだろうか? それとも己が封じたいつかの記憶か、あるいはこれから起こりうる未来だろうか? その答えすら見出せぬまま、少女は 己に架せられた運命を受け入れ、今、ここにいる。 水鏡を通し、伝えられた神託を拒むこともできず……否、その権利すらなかったが故に――。 |
|||||||
|